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中小企業バックオフィスにこそ求められる働き方のハイブリッド化

コロナ禍以降、働き方の多様化は一気に進みました。
当初はテレワーク化の遅れが指摘されていたバックオフィス部門でも、大企業・ベンチャー企業を中心に多くの企業で働き方の多様化が実現されています。

一方で、多くの中小企業・小規模企業のバックオフィス部門では、なかなか業務のデジタル化が進まず、オフィスワークの選択肢しか持っていないのが現状となっています。

しかし、本来は経営資源が限られた中小企業こそバックオフィス業務をハイブリッドワーク化していく必要があると考えています。

目次

1.1人担当制の限界

中小企業のバックオフィスをハイブリッドワーク化しなければならない理由、それはとてもシンプルで『事業を安定的に運営するため』です。

バックオフィス業務は、うまく運営されているときは、特に経営者が意識する必要すらなく日常的に運用が回っていきます。

しかし、バックオフィスの担当者が何らかの事情で急に出社できなくなったとき、多くの中小企業のバックオフィス業務は一気に混乱に陥ります。

そしてその場合、多くの中小企業では経営者がそのフォローに回ります。
経営者がフォローに回ると、今度は経営者が担っていた役割が果たしきれなくなり、企業全体として前に進みにくい状況になります。

また、バックオフィス部門は、取引先への支払や従業員の給与計算など、企業の信用に関わる重要な役割を担っています。
これらの業務は、一度の業務の遅れや停止が取引先や従業員からの信頼を一気に低下させ、最悪の場合は企業活動へも影響を与えます。

中小企業のバックオフィス部門は、その限られた経営資源の中で、どのようにして安定性を確保していくのかが、運営上の重要な課題となるのです。

2.ハイブリッドワーク化による安定性の向上

この点、バックオフィス業務をハイブリッドワーク化できる環境を整備することで、業務の安定性確保に向けた対策の選択肢が増加します。

① 物理的制約からの解放

ハイブリッドワークができる業務環境では、場所に縛られずに働くことができます。
担当者がご家族の事情などでオフィスに出社ができない場合でも、自宅等の外部からもフォローが可能になることで、業務の安定性を一定程度向上させることができます。

② 外部リソースの活用可能性の向上

物理的制約から解放されることで、バックオフィスの業務の安定性は一定程度向上します。
しかし、業務の安定性に関する課題が、1人担当制の限界からくる以上、担当者が1人のままで完全にその課題を克服することはできません。

そこで検討されるべきなのが外部リソースの活用です。
バックオフィス業務には、それぞれの会社で定められた独自の業務ももちろんありますが、比較的共通の知識基盤をベースに業務が可能です。
このため、本来は外部委託に向いているはずのバックオフィス業務ですが、多くの中小企業では外部リソースをうまく活用できていない現状があります。

それはなぜでしょうか?
その1つの原因としては、外部とのやり取りの煩雑さとタイムラグの大きさがあります。
バックオフィス業務の多くは、期限物かつ小バッチです。
この場合、外部との情報の受渡し自体に時間がかかってしまうと、担当者としては『自分でやった方が早い』となってしまうのが当然の帰結となります。
いつか対処した方が望ましい安定性確保という長期的な課題よりも、まずは業務を完了させるという短期的な課題が優先されてしまうのです。

この点、ハイブリッドワーク化を進めていく場合、情報は原則オンライン上に整理・格納できるよう業務環境を整備していきます。
そして、情報が適時にオンライン上に格納されていれば、バックオフィス担当者だけではなく、外部委託者も情報へのアクセスが容易になり、紙面でやり取りをしていた時代以上に適時適切な支援が可能になります。

ハイブリッドワークに向けた環境整備は、従業員の働きやすさの改善だけではなく、外部リソースの活用という経営上の選択肢を増やすことにもつながるのです。

3.まとめ

多くの中小企業の場合、バックオフィス業務は1~2名などの少数の担当者により行われています。
大企業のバックオフィス部門ではフォロー可能な1~2名の退職も、中小企業バックオフィスには大きな影響を与え、事業活動の停滞を招く可能性があります。

中小企業は、フォロー体制をマンパワーで確保することはできません。

マンパワー不足の対策の1つとしても、IT化が重要ですが、これまでのシステム導入は、比較的高額なものが多く、中小企業ではコスト的に導入が難しいことが多いのも現実でした。

しかし、近年は様々なSaaSの登場により、高額なシステム導入やシステム開発などなくとも、バックオフィス部門をハイブリッドワーク化していくことも可能になってきています。

今後は、経営資源に乏しい中小企業こそ、業務課題に合ったSaaSの導入を進めて、少人数でも本業に集中できる体制を作れるかどうかが、企業の競争力を左右してくるでしょう。

中小企業こそ、ハイブリッドワーク化できるバックオフィス環境を整備し、本業に集中できる管理体制を構築していきましょう。

良い経営は良い仕組みから
タスキー株式会社 取締役
公認会計士/中小企業診断士 色川 大輔

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