登記も完了したところで、銀行口座の開設手続を進めています。
B-tasでは、業務受嘱に当たり、費用と利便性の面とを比較衡量しながらお客様ごとの状況に応じて銀行口座利用の最適化のご案内を行っています。
規模が拡大してくると、銀行の振込手数料ってバカにできない金額になるんですよね。
とはいえ、手数料が安いネット専用銀行を導入すればよいかと言うと、そんな単純なことではありません。
ネット専用銀行ではできないことがあったり、逆にネット専用銀行の方が手数料が高いケースもあったりしますので、銀行口座利用の最適化を図るためには意外と検討事項も多いのです。
今回は、B-tasの法人化に当たり、どのような基準で口座選定を行ったかを書いてみようと思います。
皆様の銀行口座利用の最適化の参考に少しでもなれると嬉しいです。
1.店舗型銀行か?ネット専用銀行か?
B-tasでは、煩雑にならない程度に店舗型銀行とネット専用銀行との併用をおすすめしています。
店舗型銀行は店舗型銀行の強み、ネット専用銀行にはネット専用銀行の強みがありますが、まだまだ地方の中小企業ではネット専用銀行の活用が進んでいないのも実情です。
まだネット専用銀行を活用していない場合は、活用するだけでほぼ間違いなく、より柔軟な活動とコスト低減が達成されます。
■店舗型銀行の強み
店舗型銀行の最大の強みは、リアル店舗と現物の取扱いに起因するものが多くなっています。
(1) 融資取引
店舗型銀行の最大の強みは、融資取引と言えるでしょう。
企業が融資を受けるためには、金融機関からの信用を獲得する必要がありますが、これは財務情報などが基盤とはなりつつも、融資担当者と経営者との信頼関係が最後の一押しになることも事実です。
融資取引があることを理由にネット専用銀行の活用を躊躇う方も多くいらっしゃいますので、実務上はネット専用銀行活用の最大の障壁にもなっています。
(2) 現金現物の取扱い
現金そのものの取扱いが多い場合は、店舗型銀行は便利です。
まず、ATMの手数料については、ネット専用銀行はほとんどの場合が有料になりますが、店舗型銀行は自行ATMかつ時間内であればほとんどの場合が無料です。
また、ネット専用銀行はコンビニATMなどでの取引となるため、小銭を入れることができませんが、店舗型銀行は小銭の入出金も可能です。
このため、飲食店などの店舗ビジネスを営んでいる場合は、店舗型銀行の口座開設が必須と言えます。
(3) 官公庁・自治体からの口座引落
Pay-easyについては、多くのネット専用銀行でも対応ができるようになってきました。
しかし、官公庁や自治体への引落口座としては、基本的にネット専用銀行は利用できません。
特に毎月支払いがある税務署や自治体へのダイレクト納付口座や社会保険料の引落口座として利用できないのはかなり不便です。
また、自治体が運営する水道事業などは、自治体内に店舗を有する金融機関であることを口座振替指定口座の条件としていることも多く、これも注意が必要です。
■ネット専用銀行の強み
ネット専用銀行は、インターネットバンキングの利便性と低コストで店舗型銀行を圧倒しています。
(1) インターネットバンキングの月額利用料・振込手数料
ネット専用銀行は基本的には月額利用料が無料、振込手数料も店舗型銀行の3分の1以下の設定になっています。
このため、ネット専用銀行へ振込を移行しただけで、ほとんどの場合は銀行への支払手数料が大幅に削減されます。
(2) 振込の受付期限
店舗型銀行では総合振込の受付期限が前日15時までとなっている場合も多いのですが、ネット専用銀行は総合振込の受付が当日12時までなど直前まで認められることも大きな強みです。
また、店舗型銀行では夜間などは都度振込の受付も認められない場合もありますが、ネット専用銀行では昼夜限らず受付が可能です。
2.B-tasで開設した口座とその理由
B-tasでは、住信SBIネット銀行、PayPay銀行、七十七銀行の口座開設手続を行うこととしました。
(1) 住信SBIネット銀行
■利用用途
メイン口座として利用します。
■選んだ理由
住信SBIネット銀行では、被振込件数が月間10件以上あると、振込手数料が10件無料になるという優遇プログラムがあります。
B-tasでは毎月の被振込件数は10件超あり、かつ振込件数は当面は最大でも20件程度を想定しています。
スマホ完結で取引ができる点も嬉しい点でしたので、今回は住信SBIネット銀行をメイン口座とすることにしました。
(2) PayPay銀行
■利用用途
当面はPay-easyの支払口座として利用します。
ただ、将来的に預金残高と振込件数が増加した場合は、メイン口座として利用していくかもしれません。
■選んだ理由
PayPay銀行は、総合振込利用には月額1,100円が発生するという事もあり、住信SBIネット銀行では対応していないPay-easyの支払口座として利用する予定でいました。
しかし、今回はマネーフォワードクラウド会社設立を利用して会社を設立したのですが、こんな特典が。。
PayPay銀行を法人としてのメイン口座への変更も検討しましたが、最終的には住信SBIネット銀行の振込手数料の優遇プログラムの適用を優先することにしました。
(3) 七十七銀行
■利用用途
公金の支払口座として利用します。
■選んだ理由
上述の通り、ネット専用銀行は、官公庁・自治体からの口座引落には利用できませんので、キャッシュレス化・管理業務効率化には店舗型銀行の開設も必要です。
そこで、私たちが本拠地とする宮城県の第一地銀である七十七銀行の口座も開設することにしました。
七十七銀行でも最近になって無料のネットバンキングのプランも出てきました。無料プランだと振込やPay-easyなどの機能は使用できませんが、会計ソフトへのAPI連携は可能なようです。
最低限の機能ではありますが、どうしても店舗型銀行しかできないことがある現在の状況ではありがたいですね。
3.まとめ
今回はB-tasで口座を開設した際に考えたことをまとめてみました。
これまでは店舗型銀行が中心だった銀行取引も、ネット専用銀行が登場したことでその選択肢は多様になっています。
そのような環境で最適な組合せを検討するのは簡単ではありませんが、銀行取引の環境整備は一度行うと、その後は低コストで効率的な管理体制を構築することが可能です。
私たちも多くの中小企業様とお付き合いを頂いておりますが、まだまだネット専用銀行の活用は進んでいないのが現状です。
ネット専用銀行をどんどん活用して、より本業に集中できる経営環境を整備していきましょう。
良い経営は良い仕組みから
タスキー株式会社 取締役 / 株式会社B-tas 代表取締役
公認会計士/中小企業診断士 色川 大輔