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タスキーのクラウドサービスの選び方
~ファイルストレージサービス編~

クラウドサービスの利用する企業もますます広がりを見せる中、新しいサービスが矢継ぎ早に登場し、その選択肢も増え続けています。
サービスの選択肢が増えること自体は良いことなのでしょう。
しかし、そのような環境の中、数あるクラウドサービスの選定に頭を悩ませている担当者の方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回からタスキーがクラウドサービスを選んだ理由をサービス群ごとに公開していきます。
クラウドサービスの選定に頭を悩ます皆様の少しでも参考になればと思っています。

初回はファイルストレージサービスです。

目次

1.使用しているサービス

タスキーグループでは、現在ファイルストレージサービスとして、DropboxGoogleドライブの2つのサービスを利用しています。

一般的な物理サーバーの他、OneDrive、Boxなどの他のクラウドサービスなど、様々な選択肢がある中で、当社がこの2つのサービスを選んだ理由について、今回はご案内していきます。

2.解決したい問題

クラウドサービスなどのシステム導入を進める場合、何かしらの不満や不便などを感じて検討が始まります。
不満や不便などを感じて検討が始まった以上、本来は解決したい課題を中心に検討されるべきです。
しかし、いざサービスの選択肢の検討が始まると、ベンダー側の提案の上手さもあり、多くのケースでは、機能や料金比較にどんどん議論の焦点が移っていってしまいがちです。

ほとんどの場合は、1つの特定のサービスがすべての面で他の競合サービスを上回っていることはありません。
機能や料金はもちろん大事ですが、あくまで解決したい課題への貢献を検討の中心において、選択していくのが大事だと考えています。

ー前提

まず、当社の検討過程を見て頂く前に、簡単に当社の状況を共有させて頂きます。

  • 総合的なバックオフィスの運用支援サービスを提供
  • 業務性質上、顧問先の秘密情報も数多く扱う
  • 顧問先は地方の中小企業が中心であり、ITリテラシーは全般的に高くない
  • 主要拠点の仙台を中心にして、東京・茨城・静岡と複数の拠点を有する
  • 出社とテレワークを選択できるハイブリッドワークを推進している

ー解決したい問題

① 社内のデータ共有
複数拠点かつハイブリッドワークという業務体制を支えるため、物理的に離れた状態でも円滑にデータ共有ができる体制の構築が必要でした。

② 顧問先様とのデータ共有
私たちが提供する高付加価値型のバックオフィスサービスの実現のためには、情報入手のタイミングが遅れてしまう紙面資料のやり取りでは難しく、顧問先との円滑なデータ共有体制を構築する必要がありました。

③ セキュリティの確保
顧問先の秘密情報を多く扱う私たちが電子化を進めていく以上、セキュリティ対策には最大限の取組みが必要でした。

3.物理サーバーを選択しなかった理由

物理サーバーを選択しなかった理由は、非常にシンプルです。

外部との共有を前提とした物理サーバーの設定・運用体制は、社内で構築すべきでないと判断したからです。

物理サーバーを外部共有できるようにする場合、基本的には自社ですべての設定を行い、運用体制を構築していく必要があります。
しかも当社の場合は、社内メンバーだけではなく、顧問先とのデータ共有体制の整備も必要でしたので、その設定はより複雑であり、運用体制は煩雑になります。
また、当社の顧問先のほとんどは地方の中小企業であり、決してITリテラシーが高いとは言えず、可能な限りシンプルな導入手続きで完了するサービスが望ましいと考えていました。

データ共有対象が社内メンバーのみであったり、当社が情報システム部に人材を多く配置できる状況だったりすると、物理サーバーの選択肢もあり得たのかもしれません。
しかし、情報システム専門担当がいないという当社の状況と、顧問先とのデータ共有体制構築という課題を考えていくと、物理サーバーという選択肢は、まず検討対象から外れることになりました。

4.DropboxとGoogleドライブを選んだ理由

DropboxとGoogleドライブの選定については、実はほぼ迷わずに決まりました。

ー最大の決め手

この2つのサービスを選択した最大の決め手は、外部とのデータ共有体制が圧倒的に作りやすいことでした。

これは、両者とも個人向けサービスの市場シェアが高く、サービスを利用した経験がある方が圧倒的に多いことからきます。

サービスの利用経験があると、必然的に個人アカウントは保有していますが、個人アカウントを保有していると、追加の手続もほぼなく、当社とのデータ共有体制の構築が可能です。

片方向だけの情報共有の場合は個人アカウントの作成が不要な場合も多いのですが、双方向の情報共有が必要な場合、ほとんどのサービスではアカウントの作成が必須です。

ITリテラシーが高くない方が多い状況では、『アカウントを保有している』や『使ったことがある』というメリットは非常に大きく、円滑な導入に不可欠なものでした。

ーセキュリティの確保

最近では問合せも減りましたが、クラウドストレージサービスの利用を提案した場合、セキュリティの心配をされる方もいます。

しかし、クラウドストレージサービスは、有料の法人契約を行うことで、デバイス制限やログ管理などの充実したセキュリティ機能を利用することができます。
ただ、そのセキュリティ機能を発揮させるうえで欠かせないのは、共有アカウントの禁止と個人別アカウントでの運用の徹底です。

他の士業事務所様の話を聞いても、まだ各人任せにしての無料プランや、有料化しても共有アカウントを利用していることも少なくないようです。
しかし、そのような使い方では、クラウドストレージサービスが本来持っているセキュリティ機能が発揮されません。

当社では、クラウドストレージサービスの契約時には下記の点を守っています。
・パート・インターンも含めて、社内全員が個人別に有料アカウント
・プラン選定時は、高額でもデバイス制限・ログ管理ができるプランを選択

5.まとめ

今回は、私たちがストレージサービスとして、DropboxとGoogleドライブを選択した理由を紹介させて頂きました。

様々なストレージサービスがある中、ほぼ迷わずに決められたストレージサービスですが、もし私たちが機能や料金を中心にして比較していたら、おそらくかなり悩んでいたでしょう。
解決したい課題を具体化できていたからこそ、数あるサービスの中で当社のビジネスに合うものを選択できたのだと思います。

クラウドサービスの選定には、1つの正解はありません。
むしろ、業務をシステムに合わせる必要があるSaaSツールの導入は、本来導入後の取組みが最大のカギを握ります。
そして導入後の取組みを継続できるかは、どれだけサービスを信じられるか、サービスへの愛情を持てるかということが重要です。

当社の選定の経緯、少しでも参考になりましたでしょうか?
今度はDropboxとGoogleドライブとの使い分けについても、書いてみたいなと思います。

良い経営は良い仕組みから

タスキー株式会社 取締役
公認会計士/中小企業診断士 色川 大輔

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