経営分析の必要性
~自発的な課題解決が行える企業へ変革するために~

経営分析の必要性

はじめに

日々、企業経営において重要度の高いものから低いもの、担当者で完結できるものから複数部署に跨った複雑なものまで様々な課題が生じているかと思います。
現在のコロナ禍においては、どう事業を継続していくかというのが大きな経営課題であり、その中に営業停止に伴う代替手段の摸索、融資や助成金といった資金繰りの検討、従業員の雇用や給与問題さらには健康管理といった様々な課題が生じているとかと思います。
課題の分かり易さという面では、コロナ禍のような有事の方が課題の重要度、関連性、優先順位付けが分かり易く、何もない平時の方が分かり難いと言えるかもしれません。

理想的な企業においては、各組織・社員が自発的に課題に気づき、重要度や関連性の検討を行い、重要な課題に関しては経営会議等に適切に上程され、関連する組織や経営陣を巻き込んで課題の優先順位付けと解決に向けたアクションプランが意思決定されます。意思決定されたアクションプランは責任者、目標、期限が設定して実行され、結果のモニタリングによって目標が達成されるまで徹底的に実行がなされます。さらに目標達成後には今後同様の課題が生じても対処できるような組織や仕組みが構築され、改善活動が継続的に実行されていきます。

一方でその対極にあたるのが、各組織・社員が目の前の課題は認識しているものの指示待ちの状態になり、挙句の果てには課題が解決できないのは上司や経営陣、他部署のせいとして思考停止、行動停止している企業です。こうした状態で課題解決を行うとアクションが表面的でその場限りのものになったり、目の前の手を付けやすいものから行ったりすることになり、根本的な解決に至らない可能性が高くなります。また、アクションの策定はしたものの実際に実行したかしていないか、実行した結果どうだったのか把握されず、やりっぱなしの状態になる可能性があります。そうなると課題が中途半端な状態で放置され山積みとなり、気づいたらどこから手を付けて良いのか分からない状況になり、諦めムードで誰も課題を直視しなくなるという最悪の事態が発生する可能性があります。

特にこのような事態が顕在化するのは、創業者のような強いリーダーシップのもと長い年月運営されてきた会社が、次の世代に承継されたタイミングが多い傾向にあると感じております。どうしても強いリーダーシップのもと成長してきた企業においては、リーダーの支持を適切に実行することが求められる側面が強いため、組織が指示待ち体質となってしまい、自発的な思考が行えなくなっていく傾向があるためと考えられます。

それではそのような企業において、理想的な自発型の組織に生まれ変わるためにはどうしたらよいのでしょうか。そうした企業においては、

 ①企業の現状を把握し、課題の見える化を行う(経営分析)
 ②課題解決に向けたアクションプランを策定する(経営計画の策定)
 ③策定したアクションプランの実行とモニタリングを行う

3つのステップによる抜本的な手術によってあるべきレールに戻し、手術後はレールを踏み外さないようリハビリを行いながら理想的な自発型の組織になるよう習慣化させていくことが必要になります。

理想的な自発型の組織に生まれ変わるための最初のステップが経営分析であり、この経営分析を以下の4つの観点で行うことが重要であると考えます。

 1.自社の一部分だけを見るのではなく全体的な視点で見る
 2.自社だけでなく自社の周り(業界、競合他社、顧客など)の視点で自社を見る
 3.社内や業界の常識を捨て、第三者的な視点で見る
 4.定性的な視点だけでなく定量的な視点でも見る

1.自社の一部分だけを見るのではなく全体的な視点で見る

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自社の一つの組織や機能でみるのではなく、連続性のあるビジネスプロセス(バリューチェー)で自社の現状を把握することが重要になります。そうすることで課題がその組織や機能に固有の課題であるのか、複数の組織や機能に跨った課題であるのかが見えてきます。

2.自社だけでなく自社の周り(業界、競合他社、顧客など)の視点で自社を見る

経営分析の必要性

孫氏の有名な一節に「敵を知り己を知れば百戦殉死殆うからず」とありますが、今も昔も本質は変わらず、自社が置かれている外部環境を理解し、自社の内部環境と照らし合わせることが重要です。照らし合わせることで認識できていなかった課題を浮き彫りにすることができます。

3.社内や業界の常識を捨て、第三者的な視点で見る

経営分析の必要性

簡単なようで難しいのが、この社内や業界の常識を捨てるということです。これまで何十年と働いてきて染みついた習慣や考え方は急に変えられるものではありません。そうしたときに定期的な中途採用による外部の血を取り込んだり、私どものようなコンサルティング会社にお声がけ頂いたりすることで、外部の知識や経験を社内に取り入ことが可能となります。
ただし、実際に課題を解決するための施策やアクションを考え、実行する場合には、社内や業界の常識、歴史について理解して行う必要があります。
なぜならば、実行するのはあくまでも自社の人であり、その人達が今までどう考え、どういう行動を起こしてきたのかを理解しなければ、その人たちの考えや行動を変えることはできないからです。

4.定性的な視点だけでなく定量的な視点でも見る

経営分析の必要性

重要なのがこの定性的な視点だけでなく定量的な視点でも見るということです。営利企業である以上、企業の最大目標は利益を稼ぐことだと思います。全ての課題はこの利益という数値(定量情報)を最大化するために解決すべきものと捉えることができ、極端に言えば利益に影響を与えない(与える可能性がない)内容は課題ではないと言えます。この定量的な視点を持てば課題の重要度、優先順位付けが行え、課題解決に向けたアクションプランの実行をモニタリングしていく際にも達成度を測定することができます。

 

次回のコラムでは『②課題解決に向けたアクションプランの策定(経営計画の策定)』について記載させて頂ければと思います。

長文にお付き合い頂き有難う御座いました。

 

タスキー株式会社 取締役
公認会計士 渡部亮