イノベーションとベンチャー支援

イノベーションとベンチャー支援

タスキー株式会社ではベンチャー支援事業を展開していますが、今回は産業革命(イノベーション)を切り口に、ベンチャー支援の意義を考えてみました。

1.現代のイノベーション


いきなりテーマが飛躍しますが、人類の歴史における産業の革命を、昨今のイノベーションに関する研究などを参考に、以下のようにざっくりと分類してみました。

名称 時代 地域 内容
第1次産業革命 18世紀後半~19世紀後半 紡績機、蒸気機関(工業の誕生)
第2次産業革命 19世紀後半~20世紀初頭 米・独 自動車・飛行機、発電機、電話
第3次産業革命 20世紀後半~21世紀初頭 欧米・日本 原子力、電子工学、情報技術、生物工学
第4次産業革命 21世紀 欧米・中国 IoT、ビッグデータ、AI

 

ここで注目すべきは、第3次・第4次産業革命がアメリカの「シリコンバレー」と呼ばれるカリフォルニアのベイエリアを中心に起きてきたということです。

もともと「シリコンバレー」がある地域は、産業が乏しい地域でした。そこに、セントラル・パシフィック鉄道の創業者でカリフォルニア州知事でもあったスタンフォード氏が、一人息子を病で失ったことをきっかけに、1891年にスタンフォード大学を設立しました。

そして、第二次世界大戦の時代になると、カリフォルニアは軍港などの軍事拠点があったため、軍需産業が勃興します。電子工学の権威だったスタンフォード大学のターマン教授も、レーダー妨害装置の開発で大きな貢献をします。戦後、ターマン教授による産学連携や学生への起業啓発の取り組み(教え子がヒューレット・パッカード社を創業)などをきっかけに、イノベーションが継続的に発生しやすい基盤が誕生します。そして、インテル社に代表される半導体産業が劇的に発展していき、半導体がシリコンを原料にすることから「シリコンバレー」と呼ばれるようになりました。
さらに、スタンフォード大学、カリフォルニア州立大学、カリフォルニア大学を中心とした地元の大学から輩出された挑戦心のある優秀な人材が、パーソナルコンピュータ、インターネット通信、検索エンジン、スマートフォンなど現代の生活に欠かせない産業の誕生に貢献していきました。

2.ベンチャーキャピタルビジネスの誕生


ベンチャーキャピタル

シリコンバレーでは、半導体産業の急速な成長に伴って、新しい技術を事業化するベンチャー企業に対して、貸付ではなくて株式の取得という形で資金を提供する投資家が登場します。

株式の取得をする理由は、倒産するリスクが高いベンチャー企業に対して貸付をして元本と利息を回収するより、価値が何十倍にもなる可能性がある株式投資のほうが儲かるからです。

そのため、事業の目利きに長けている投資家は、自己資金だけでなく、他の投資家からも資金を調達して、ベンチャーキャピタルとしてファンドを運営し、ベンチャー企業へ出資していきます。

ベンチャー企業を設立した起業家は、将来の価値が大化けするかもしれない自分が持つ株式の一部を、ベンチャーキャピタルの資金と引き換えに渡します。

このようにして、売上がないベンチャー企業が研究開発や事業拡大へ先行投資できる資金調達の仕組みが発展していきました。

3.イノベーションを生み出すエコシステム

イノベーションとベンチャー支援

ベンチャー起業の株式を持つ起業家は、事業が成功してベンチャー企業を他社に売却したり、証券市場に上場(IPO)することで大金を手にしますが、成功経験を活かして、再び起業したり、自ら投資家としてベンチャーに投資をします。また、そのベンチャーで働いていた人たちも、成功経験を活かして起業したり、他のベンチャーに転職します。そして、ベンチャーキャピタルも、投資で培った知見と成功した起業家とのネットワークを活かして、再び投資をします。

こうしたことが繰り返されることで、シリコンバレーのエリアでの人材・ノウハウ・成長資金が回るスピードが早くなっていき、イノベーションがイノベーションを呼ぶような良い循環型の社会構造となります。この「エコシステム」と呼ばれるような社会構造が、イノベーションが連続で起きるシリコンバレーの秘訣だと言われています。

4.日本のベンチャー

イノベーションとベンチャー支援

それでは、日本のベンチャーはどうでしょうか。戦後に創業して世界に影響を与えた企業として、ホンダ、ソニー、ファーストリテイリング、ソフトバンクといった企業の名前が浮かびますが、アメリカのGAFA、中国のBATに並ぶ若くて時価総額世界トップ10に入るような企業はありません。しかし、だからといって日本の将来を必要以上に悲観する必要はなく、

日本ならではの持ち味を活かした方法で、ベンチャー企業を育成し、独自のエコシステムを形成することが、今後の日本経済の発展のために必要なのではと筆者は考えます。(とはいえ、世界のグローバル化が進展した現代で、国単位で物事を考えること自体がナンセンスかもしれませんが…)

5.タスキーが支援する意義

イノベーションとベンチャー支援

ようやく今回の本題になります。

日本のベンチャー企業とベンチャーキャピタルは、東日本大震災以降、増加傾向にありますが、両者をサポートできる専門家は不足していると筆者は考えています。今後の景気次第では、近年続いているとされる「ベンチャーブーム」の終焉が来るかもしれませんが、タスキーは、ベンチャー支援を通じて日本のイノベーションのエコシステム発展に貢献できるよう、今年の社内スローガンである「やりきる」ことをモットーに、ベンチャー企業(ベンチャーマインドを持った中小企業も含みます。)を支援していきたいと思います!

タスキー株式会社 取締役
公認会計士・日本証券アナリスト協会検定会員 林俊之